お知らせ

2024年4月1日

日本防衛学会

 

日本防衛学会「倫理規定」

 

【前文】

日本防衛学会は、国の防衛と国際の平和に関する学術研究および学会運営にあたって模範とすべき基本原則を「日本防衛学会倫理規定」として、ここに定める。会員は上記の研究の発展と社会の信頼に応えるべく、本規定を尊重し遵守するものとする。

 

防衛学の研究領域は多岐に及び、一方では研究成果が現実の政策や防衛力整備に影響力を持つ可能性があり、他方では戦場心理等の解明のために個人のプライバシー保護や人権の尊重に留意しつつ研究しなければならないことも想定される。したがって、会員は自らの研究によって起こり得る社会的影響について十分に自覚するとともに、調査・研究上関わりを持つ個人および集団の尊厳を侵害するような行為は慎まなければならない。また、ハラスメント、研究不正、研究資金の濫用等の禁止に係る研究者としての基本的原則を忘れては社会的信頼を得ることはできないことから、これらを遵守し、良識かつ品位ある行動をとらなければならない。

 

会員は、科学的真理の探究と現実の問題の解決を目的として、誠実かつ真摯に防衛学の研究を行うとともに、その進歩普及を図り、もって国の防衛と国際の平和に関する学術研究の充実・発展を図る。

 

【規定】

第1条〔公正と信頼の確保〕

会員は、防衛学の研究・教育を行うに際して、また学会運営にあたって、公正を維持し、社会の信頼を損なわないよう努めなければならない。

 

第2条〔目的と研究手法の倫理的妥当性〕

会員は、社会的影響に配慮して、研究目的と研究手法の倫理的妥当性を確保しなければならない。

 

第3条〔研究成果の公表〕

会員は、研究の公益性と社会的責任を自覚し、研究成果の公表に努め、社会への還元に留意しなければならない。

 

第4条〔差別の禁止〕

会員は、思想信条・性別・性的指向・年齢・出自・宗教・民族的背景・障害の有無・社会的地位などに関して差別的な取り扱いをしてはならない。

 

第5条〔プライバシーの保護と人権の尊重〕

会員は、研究に必要な調査等を実施するにあたって、また研究成果の公表や教育活動にあたって、個人のプライバシー保護と人権の尊重に留意しなければならない。

 

第6条〔ハラスメントの禁止〕

会員は、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントなどのハラスメントにあたる言動や行為をしてはならない。

 

第7条〔研究不正・著作権侵害の禁止〕

会員は、研究のオリジナリティを尊重し、著作権などを侵害してはならない。剽窃・盗用・データの捏造・改ざんや二重投稿をしてはならない。また、調査・研究を複数の研究者が共同で、あるいは他者の協力を得て行う場合、その実施上の役割分担や責任の所在及びその成果が公表される場合の著作権等について十分な合意形成をしておかなければならない。

 

第8条〔研究資金の適正な取扱い〕

会員は、研究資金を適正に取り扱わなければならない。

 

第9条〔倫理審査委員会の設置〕

日本防衛学会は、本規定に違反する行為及び本会の名誉を傷付ける行為に適切に対応するため、必要に応じ、倫理審査委員会を設置する。

 

第9条の2〔倫理審査委員会の構成〕

倫理審査委員会は、理事1名以上を含む会員若干名から成る委員で構成される。会長は委員の中から委員長を指名し、理事会は委員長及び委員を承認する。

 

第9条の3〔倫理審査窓口〕

 事務局内に倫理審査窓口を設置する。

 

第10条〔倫理審査手続き〕

倫理審査手続きは以下のとおりとする。

 

第10条の2〔申し立て〕

本規定に違反すると思われる行為及び本会の名誉を傷付けると思われる行為に関して、会員は、書面により倫理審査窓口(boueigaku<アットマーク>jsds.jpn.org)を通じて委員長に申し立てを行うことができる。申し立てがなされた場合、窓口担当は委員長および委員に速やかに報告する。委員の中に申し立ての当事者がいる場合、当該委員の活動を一旦停止し、臨時の委員を常任理事会で選任する。

 

第10条の3〔調査〕

申し立てを受け、倫理審査委員会は速やかに調査委員会を発足させる。調査委員には学会外の専門家を加えることができる。調査委員会は、調査の公正性を第一義とし、訴えられた会員への聴取をはじめとしてその他必要な調査を実施し、原則として発足から3ヶ月以内に倫理審査委員会に調査報告書を提出する。ただし、3ヶ月以内に事実関係の確認を終了できない場合は、完了予定期限について倫理審査委員会長の承認を得た上で調査を継続できる。

 

第10条の4〔違反行為の認定〕

調査報告書の提出を受けたならば、倫理審査委員会は違反行為の認定及び当該会員の処遇について検討し、会長に検討結果を報告する。この報告を受け、会長は理事会(メールによる審議を含む。)を開き、違反行為の認定及び処遇について決定する。

 

第10条の5〔違反会員の処遇〕

違反行為が認定された場合の当該会員の処遇は以下のいずれかまたはこれらの組み合わせによるものとする。

① 会長による注意

② 会員の一部資格停止

 -ア 学会の役職就任停止

 -イ 研究大会登壇の1~3年間の自粛勧告

 -ウ 機関誌投稿の1~3年間の自粛勧告

③ 会員の全資格停止

④ 退会勧告

⑤ 除名

 

第10条の6〔不服申し立て〕

違反行為が認定され処分を受けた会員が日本防衛学会理事会の決定に不服のある場合、1ヶ月以内に異議申し立てを行うことができる。異議申し立てのあった場合には、速やかに再調査を行うものとする。調査の結果、違反行為の事実が存在せず、申し立てが会員からのものであり、かつその会員の悪意による申し立てであることが判明した場合、日本防衛学会理事会は申し立てを実施した会員に対して第9条の5の規定に準じた処遇を行う。

 

第10条の7〔ハラスメント認定後の措置〕

ハラスメントが認定された場合、そのことによって被害者の学会活動に支障が生じないよう、倫理審査委員会は必要に応じてサポートを行う。また、被害者がハラスメントによって学会活動を停止している状態である場合には、必要に応じて復帰に向けたサポートを行う。

 

第10条の8〔関係者の守秘義務〕

理事会、倫理審査委員会、調査委員会及び倫理審査窓口は、違反行為の申し立てに関連して、職務上知り得た事柄について、守秘義務を負う。

 

付則

本規定は2024年4月1日より施行する。

本規定の変更は日本防衛学会理事会の審議を経ることを要する。